勢子の活躍

越後闘牛では闘志に満ちた牛たちを引き分けにするために『勢子』と呼ばれる男た ちが勇姿を見せてくれます。
試合が最高潮に達した時点で合図がかかり両牛の脚に綱が掛けられます。大勢の勢子たち がその綱を引くなか、腕利きの勢子がまだ猛り狂っている牛に飛びかかり鼻を抑えます。 牛の急所は鼻なのです。ピタリと両方の牛の動きが止まると期せずして両牛の熱戦と勢子 の勇気に拍手がわき起こります。
この勢子の活躍こそが越後闘牛の最大の華とも言えるでしょう。牛と人とが闘牛場のなか で縦横無尽に己の力と技と勇気を披露する・・・・現代的なスポーツ感覚・フェアプレー精神 と千年も続く歴史の香り・土俗的な迫力とが渾然一体となって、壮麗な絵巻物のように目 の前に繰り広げられる美しさは言葉にしがたいほどです。

著:ヤス (2001.8)

『竹沢号』vs『和泉屋』